熱中症 対策情報

熱中症を防ぐには? お年寄りは無理せずエアコンを

- nobu

2011/07/02 (Sat) 00:14:23

産経新聞 7月1日(金)7時57分配信

6月24日に最高気温39.8度を記録した埼玉県熊谷市。日差しを防ぐため、日傘を使用する人の姿も見られた (桐山弘太撮影)(写真:産経新聞)
 東京電力と東北電力管内の大口需要家に強制措置の電力使用制限令が1日、発動される。関西電力もこの日からの自主的な節電を要請。各地で家庭の節電意識が高まりそうだが、厳しい暑さの中、懸念されるのが熱中症だ。対策の基本は体温上昇を抑え、脱水症状を防止すること。エアコンの使用を控えようとする人も多いだろうが、我慢のしすぎは命取りになりかねない。無理せず必要なときはエアコンを使用し、熱中症を防ぎたい。(森本昌彦)


 ◆2000人台に急増

 総務省消防庁の熱中症による救急搬送状況(合計速報値)によると、今年5月30日から6月26日までに3709人が熱中症のため救急搬送され、このうち8人が死亡、119人が重症と診断された。

 5月30日からの3週間はいずれも200人台で推移していたが、埼玉県熊谷市で6月24日に39・8度を記録するなど一気に暑さが強まった6月20~26日の週は2996人に急増。6月29日には、千葉、長野、愛知、奈良の4県で4人が死亡した。

 7月を迎え、今後ますます熱中症の危険性が高まるとみられる。京都女子大学家政学部の中井誠一教授(運動生理学)は「屋内でも屋外でも、熱中症の予防の基本は体温上昇を抑制することと、脱水症状を防止することです」と話す。

 中井教授ら熱中症に詳しい研究者でつくる「熱中症予防研究会」は熱中症にかからないため、気をつけるポイントを5つ挙げる。(1)暑い日は無理をしない(2)適度な水分・塩分補給と休憩(3)涼しい服装、外出時は帽子を着用(4)体調不良は危険で、高齢者は特に注意(5)暑さに慣れる-だ。

 ◆水分補給も

 まず暑いと感じる日には、無理をしないことが大事だ。どうしても外出しなければいけないときも夕方以降に出かけたり、外では日陰を選んで歩いたりする。脱水状態にならないためには、スポーツドリンクや0・1~0・2%の食塩を含む飲料が望ましいとされる。

 服装面では汗を吸収し、通気性の良い素材の衣服を選ぶ。屋外では直射日光を防ぐのに帽子や日傘も有効だ。帽子は頻繁に脱いだり、かぶったりした方がいいという。

 熱中症に特に気をつけたいのはお年寄り。熱中症による救急搬送者で高齢者(65歳以上)が占める割合は年々増えている。お年寄りが特に危険な理由について、中井教授は「体内の水分量が減り、体温調節機能や暑さや寒さに対する感覚が鈍っているから」と説明する。

 お年寄りが気をつけたい点としては、中井教授は「こまめに水分補給をし、動ける場合は暑さに体を慣らしておいた方がいい」と勧める。お年寄りの中には夜中にトイレに行くのを嫌がり、水分を控えようとする人もいるが、入浴前や寝る前など定期的に水分補給の習慣をつけておくことが望ましいという。

 暑さに対する認識を高める意味で有効なのが温度計だ。中井教授は「お年寄りの場合は暑さに対する感覚が鈍く、我慢しがち。温度計を見て、一定の温度になったらエアコンをつけてほしい」と話す。

 今年は節電を求める風潮が強まっているが、無理は禁物。お年寄りだけでなく、温度が高いときはエアコンを使うのがよさそうだ。

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